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六月の晴釣雨読「マキアヴェッリ語録」

マキアヴェッリ語録   マキアヴェッリ著

訳者 塩野七生     新潮文庫

個人の間では、法律や契約書や協定が、信義を守るのに役立つ。

しかし権力者の間で信義が守られるのは、力によってのみである。

 

人はよく、君主(指導者)をこんなふうに評する。

あの人は鷹揚だ、とか、

あの人はケチだ、とか、

あの人は気前がいい、とか、

あの人は強欲だ、とか、

ある人は、残酷だという評判をとるし、

別の人は、慈悲深いといわれるし、

ある人は、不誠実と評され、

他の人は、誠実このうえない人物、と誉められ、

ある人は、女々しいとか柔弱とか言われてさげすまれ、

別の人は、臆病者でいくじなし、と言われ、

他の人は、勇敢で大胆な人、とたたえられ、

ある人は、傲慢で尊大な人、と評され、

ある人は、好色家、と陰口され、

別の人は、おかたい人物、とされ、

ある人が、裏表のない人、と言われるかと思えば、

別の人は、裏表があるから注意の必要あり、となり、

ある人は、強情で頑固な人間、と言われ、

他の人は、人好きがして愛想がいい、と評され、

あの人は、落ちついて威厳ある人物、と言われ、

他の人は、軽薄で深みがない、とされ、

あの人は、信仰心が厚い、と言われ、

別の人は、そんなものは薬にもしたくもない、と一刀両断されるという具合である。

しかし、君主(指導者)たるものは、それをしなければ国家の存亡に

かかわるような場合は、それをすることによって受けるであろう悪評や

汚名など、いっさい気にする必要はない。なぜなら、たとえ一般には

美徳のように見えることでも、それを行うことによって破滅につながる

場合も多いからであり、また、一見すれば悪徳のように見えることでも

その結果はと見れば、

共同体にとっての安全と繁栄につながる場合もあるからである。

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