水簾洞ブログ
七月の晴釣雨読(2017)
邂逅の森 熊谷達也著
文藝春秋社
動物を殺すたび、また鬼になる『又鬼』で、マタギと読む。
マタギ、松橋富治の一代記、
あなたは
秋に未踏の杣道に踏み込ったことがありますか
想像絶する物凄い藪漕ぎに、十分ともたない
前後左右上下から枝や蔦がまとわりつき
イガイガの実が身体じゅう絡み身動きが出来ぬ
犬でさえ動けなくなる
そう、深山で突然犬が石になりワナワナ震えだす。
熊の爪て手に取って見たことありますか
恐ろしく美しいですよ。
マタギの世界を実体験できたと思う唯一無二の小説。
但し、熊谷ワールドは「邂逅の森」のみ
他の熊シリーズは無念です。
人生は小説より奇なり
白神山地を縦断し青森、秋田両県を結ぶ「青秋林道」の建設に
反対し、林野庁を動かし遂には「世界自然遺産地域」にまで導いた
マタギ工藤光次さんがプロットモデルではなかろうか。
新潟日報 2013/11・4
(文・大沼祐介 写真・金刺洋平=共同通信社)
「邂逅の森」と「ルポ」が互いに共鳴し
スーパーリアリティー化する。
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