水簾洞ブログ
晴釣雨読「水が消えた大河で」
「水が消えた大河で」 三浦英之著、 現代書館
この河口に集結した生きものは、
信濃川を153キロ遡上し新潟長野の県境を越え千曲川を
更に214キロ遡上という気宇壮大な旅をする、その間に越える
支流数880、日本最大の大河と鮭の物語。
昭和初期の長野県の「鮭」漁獲高は年間60~70トン。
俄かには信じ難い話しだが、長野県統計室に資料があるという
現在では想像もつかぬ 犀川、梓川の光景だった。
一方、
昭和14年に、信濃川に東京電灯(現東京電力)がダムを建設する。
ダム稼働から11年後、
昭和25年の長野県鮭鱒漁獲高は統計上26キローーーーー
そして、
1990年(平成2年)信濃川から水が消える。
政令指定都市新潟市から120キロ以上離れた、
人口5万の十日町市、その新潟長野県境で
おきた、この事件は、その後、
政治、経済、行政、報道機関、内水面漁、農業産業、
各NPO団体それらに係る人々の使命感や正義や愚かし
さの何もかもを抱き込んで複雑怪奇な迷宮模様をさらけだす。
阿賀野川水銀汚染で「河殺し」をした新潟は
目覚める事を知らない。「河を殺す」とはどういうことなのか
地元新潟に叩きつけたノンフィクション。
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